80's ROMANCE Music Disc Guide: Extended Version

80's ROMANCE Music Disc Guide : Extended Version

80年代究極のミュージック・ディスク・ガイド

流行を生みだす音楽はいつも刺激がいっぱいだった!
ときめきの1980's MUSIC ディスク・ガイドの決定版!

THE BEST 80's MUSIC GUIDE OF THE WORLD!

もっと早く出会いたかった最高のミュージック・ディスク・ガイド!

笑えるほどコアなバイオ情報が満載 !
総ページ数はこれでもか ! 880 !
掲載アーティストは驚愕 ! 1500 Over !
ディスクレビューは爆発 ! 1900 Over !
お財布に優しい ! 1980円 ! <1レビューあたり1円 ! (涙)>
クラブDJ御用達 ! ベスト・シングル・レビュー !
入門者にも優しい ! ベスト・アルバム・レビュー !
Who's Afraid Of The Cover? 誰があのカヴァーを・・・

初版1980部限定! 特別定価1980円(税別)

空前の大ボリュームで迫る 80年代音楽の百科事典 !!

New Wave, Punk, Post Punk, Electro Pop/Techno Pop, New Romantic,
Neo Acoustic/Guitar Pop, Power Pop, Neo Psychedelic, Gothic/Positive Punk,
Blue Eyed Soul, House, Techno, High Energy/Eurobeat, 2 Tone/Ska, Industrial,
Electric Body Music, Indie Dance/Madchester, Shoegazer, Neue Deutsche Welle...and so on.

from ABC to XTC, Iggy Pop to Indie Pop, Punk to Pankow...

- Thers's a riot goin' on in 80's ROMANCE! -
Seaching for the perfect beat? Come & join us!

お問い合わせは Amabile amabile@amabilehair.com

掲載ディスクはこちら


80's ROMANCE Music Disc Guide : Extended Version エイティーズ・ロマンス ミュージック・ディスク・ガイド(増強版) 80's ROMANCE Music Disc Guide : Extended Version エイティーズ・ロマンス ミュージック・ディスク・ガイド(増強版)
(2011/08/31)
Amabile(アマービレ)

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Supervised by Amabile
David Bowie Photography by Masayoshi Sukita
Edited by Tomoya Kumagai+Sota Toshiyoshi (SLOGAN)
Design/DTP by Norio Ichinose (MAT)
Cover Design
Copyright . 2011 by Masayoshi Sukita

Copyright . 2011 by Colour Field Inc.
All rights reserved. No portion of this book may be reproduced
with the permission of the artist or publisher.
ISBN: 978-4-902199-83-3
Published by Colour Field Incorporated
www.colourfield.co.jp
Printed in Japan

Special Thanks: club buddha

80's ROMANCE DJs: Amabile, REU, TAK-C, μra,
in TOKYO: Conta, KABE, SAKUMA

下記のサイトでもお取り扱いしていただいてます


 1999年9月13日にスタートしたクラブ・イベント80's ROMANCE が、2011年9月で12周年を迎えることになった。スタート当初は名古屋のclub buddha を中心に隔月で年6回というペースで開催。最近は年3回というペースで落ち着いているが、それでも今年5月には57回を数えた。01年から年1回東京にも進出し、今年の8月には東京でも遂に10周年を迎える。そして09年の名古屋ロマンス10周年を機に発刊された「80's ROMANCE Music Disc Guide」が、東京の10周年を機にヴァージョンアップして再登場する運びとなった。1回目の時点では単発のつもりだった80's ROMANCEが12年間ずっと続けてこられたのは、もちろん通ってくれるお客さんがあってのこと。おそらく再び本書を手にしてくれた方の中には、一度でも80's ROMANCEに足を運んでくれた方が多く含まれていると思う。ここまでイベントを支えてきてくれた、そんなみなさんには心から感謝したい。本当にありがとうございます。しかし初めて本書を手にしてくれた方の中には、80's ROMANCEを知らない方も当然いるだろう。そこで、まずここで80's ROMANCEのことをなるべく端的に説明しておきたいと思う。初版と同じ内容になるがご容赦願いたい。
 80's ROMANCEとは、80年代ニュー・ウェイヴ系の楽曲を中心にプレイするクラブ・イベントだ。80'sと冠してはいるが、ニュー・ウェイヴはパンク・ムーヴメントが発端になっての新しい波なので、70年代後半のパンクからポスト・パンクまでも含む。しかしその軸となっているのはやはり80年代、特にニュー・ウェイヴが全盛だった前半ということになる。一般的な80'sのコンピレーション・アルバムにしても、80年代中期以降にジャンルとして確立されたユーロビートなどを除くと、同じ80年代でも前半期から中期までにリリースされた楽曲が多く収録されていると思う。Culture ClubやDuran Duranなど第二次ブリティッシュ・インベンションの波に乗り、全米でもヒットを飛ばしたニュー・ロマンティック勢がわかりやすいだろうか。その一方、イギリスでは神格化されるほどの人気を誇るJoy Divisionを筆頭とするネオ・サイケデリックやゴシック系、Aztec CameraやPale Fountainsに代表されるネオ・アコースティック系のアーティストなど、溢れんばかりの才能と魅力を秘めた若者たちが次々とデビューしては80年代前半のシーンを彩った。
 The Smiths に続く最後の大物としてJesus & Mary Chainがデビューして以降、ニュー・ウェイヴという大きな波はジャンルの細分化により拡散していくが、Happy MondaysやStone Rosesらの登場によりマッドチェスターというまた新たな波が押し寄せる。マンデーズもローゼスもデビュー当時の作品はMartin Hannettがプロデュースを手がけており、その流れは途切れることなく確実にニュー・ウェイヴから続いている。ほぼ時を同じくしてMy Bloody Valentineというシューゲイザーの先駆となったモンスターの出現により、90年代から現代に至るまで数多くのフォロワーが輩出されたが、このMBVにしてもJ&MCやCocteau Twinsなどニュー・ウェイヴからの影響は否定できないだろう。また、Paul Wellerはパンク/ ネオ・モッズのJamから自然な形でStyle Councilへと移行し、ブルー・アイド・ソウルからハウスまでも見事に体現してみせた。そしてこれは主にイギリスのギター・バンドに焦点を絞っただけのことであり、もちろんアメリカやドイツにも音楽性は違えど、同じような流れが存在する。ジャンルが細分化されたのは、ニュー・ウェイヴがそれだけ広範囲に及ぶ多種多様な音楽性を持っていたということに他ならず、80年代には全ての音楽があったと言ってしまっていいかもしれない。
 そして80's ROMANCEのベースとなっているのは、82年から86年の間に営業していたディスコOZ。OZは名古屋で唯一ニュー・ウェイヴ系の選曲が主流だったディスコで、東京でいえばツバキ・ハウスのロンドンナイト的な存在だった。初期はパンクやファンカラティーナもよくかかっていたが、ロンナイに比べるとロック色よりもエレ・ポップ色が強かったように思う。後期にはデビュー当時のErasureやPet Shop Boys、Sisters Of MercyからToy Dollsまで幅広くプレイされた貴重なディスコだ。自分が今でも大好きなあの頃の曲でもう一度踊りたい、あれから十数年の時を経て、そんな想いから始めたのが80's ROMANCEになる。自分を含む名古屋のレジデントDJ4人は全員OZに通っていた友人たち。当時の空気感を知っているこの4人だからこそ、今のフロアでも十分に通用する数々の名曲をプレイできるのだと自負している。
 東京では年に1回ということもあり、80年代までの楽曲に限定しているが、名古屋では90年以降でもニュー・ウェイヴの流れにあり、主旨に反するものでなければ特に年代に関係なく選曲している。まずは来てくれたお客さんに楽しんでもらうことが第一なので、求められるのであれば近年のアーティストでも取り上げる。コンスタントに新作がリリースされるCureやDepeche Modeなどは現在も精力的に活動中で、そういう現役バリバリのアーティストに関してはリリースのタイミングに合わせ新曲もプレイする。また90年以降のリリースでも、80年代の楽曲のリミックス、もしくはカヴァー曲などを意識的にプレイすることも多い。80's ROMANCEは懐古的なイベントではあるが、もちろん現在進行形のイベントでもあるので、80年代の名曲は時代を超えて確実に受け継がれているということを伝えていきたいからだ。もちろん今でもその意志に変わりはないが、09年に本書の初版を発行してからは原点回帰し、ここに紹介したアーティストや曲を再び積極的に取り上げるようにしている。事実フロアが求め、本当に盛り上がるのは、昔からずっと80年代のオリジナルなのだ。自分自身もその度に80年代の楽曲の良さ、フロアが一体となって踊ることの楽しさ、それらを共有できることの感動を再認識している。
 本書では、まず80's ROMANCEで重要と思われるアーティストを、Important Artistsとしてバイオグラフィー付きで紹介することにした。これはただ単にアルバム・レビュー中心のディスク・ガイドにしたくなかったということと、そのアーティストに関するトリビア的な情報を合わせて伝えたかったからだ。自分が執筆経験の全くない素人だということを踏まえると、限られた字数の中で読み手に的確に伝わるような表現力を必要とされるレビューよりも、情報を中心とした文章にしたほうが間違いないと考えた、ということも大きい。書かれていることはWikipediaやオフィシャル・サイト等ネットで調べればわかることも少なくないが、それがひとつの本という形で手元にあれば役立つこともあるんじゃないだろうか? 初めて知る人にとっては、思わずへぇボタンを連打したくなるようなトリビアも数多くあるはず。それがジャンルを超えて次々とリンクしていくことがあるから音楽は面白いのだ。裏付けを取るため丁寧に調べたり、改めて音源を聴き直したりしてみると、新たな発見や感動が次々と見つかって時間はかかったけれど、本当に楽しかった。
 また本書の特色として、ベスト・シングルとベスト・アルバム等の選出が挙げられる。ベスト・アルバムに関しては通常のディスク・ガイドで軽視される傾向にあるが、クラブでプレイされる楽曲を最も数多く収録しているアルバムはベスト盤に違いないだろう。これから聴いてみようという方にも、入門編として入りやすい、お得なアルバムでもある。レビューを各1枚という制限を設けたため、意識的にベスト・シングルを収録していないオリジナル・アルバムを選んだり、オリジナル・アルバムとベスト・アルバムでどちらか1枚というパターンも存在するが、それは自分の意向を伝えた上で各執筆者の判断に委ねているので大目に見てもらいたい。今回の増訂版にあたって、Important Artistsとアルバムのレビューを増やすことができたのだが、バイオを含めてこれだけの内容を執筆するのは自分ひとりではもちろん、80's ROMANCEのDJを合わせても到底不可能な作業なので、80's ROMANCEに数回は足を運んでくれている常連のお客さんや、自分でもイベントを主宰するDJなどクラバーの方々に協力をお願いした。各アーティストに精通する本当に好きな方がそれぞれの想いを込めて綴っているので、読んでいただければきっと何か伝わるものがあるはずだ。
 そして今回200枚以上増量したことにより、洋邦合わせて1000枚を超えることとなったシングル・レビュー。これだけ多くのシングル盤を扱ったディスク・ガイドは滅多にないんじゃないだろうか? あくまでもクラブ・イベントの本であることを前提として、アルバムではなくシングルに拘った。ニュー・ウェイヴにおいても、時としてシングルはアルバムより重要である。このため本来ならアルバムも紹介するべきレベルにあるアーティストが、シングル1枚のみで終わっていて物足りなく感じることもあるかもしれない。これは自分の能力の限界と力不足によるものなので大変申し訳なく思う。
 しかしその分、この増訂版では更なる内容の充実と80's ROMANCEの特色を出すため、Covered RomanceやCompilation Albumsなどの新コーナーを設けた。前述したように、実際のイベントでもカヴァー曲をプレイすることが多いのだが、事実70年代後半から80年代にリリースされた作品には、アレンジに左右されない極上のメロディを持った名曲が数多く存在する。今この時代においてもカヴァーするアーティストが後を絶たないのがその証拠だろう。中にはオリジナルをズタズタに解体したカヴァーもあるし、悪意すら感じられるカヴァーもある。逆にオリジナルに最大限の敬意を払い忠実に演奏したとしても、それが名曲であればあるほどオリジナルに迫ることは困難を極める。でも自分の好きなアーティストによる自分の好きな曲のカヴァーならどうだろうか?それならばオリジナルに匹敵するほど気に入る可能性もあるだろう。また、たとえばBoys Town Gangの「君の瞳に恋してる」のようにダンス・ミュージックとしてカヴァーすれば、フロアではオリジナルを凌ぐほどの支持を得ることもあるだろう。そんなカヴァー曲を聴くことで、80年代の楽曲の良さを再確認することができるし、現在のシーンとリンクさせることもできる。それは80年代の音楽が今もずっと生き続けているということであり、確実に未来へも繋がっているのだ。そんなカヴァー曲の魅力を少しでも伝えられたらと思い、新たに紹介させてもらった。
 レビューはあえてジャンル分けをせずA to Zで並べた。現在はかなり細分化されてしまっているが、元々ニュー・ウェイヴはそれ自体がひとつの大きなジャンルで、当時はテクノ・ポップもネオアコもポジパンも同時に聴いていたリスナーが多かったのだ。それは80's ROMANCEの意志にも直結している。ジャンル分けされていないのは読者にとって不便なことかもしれない。しかし自分の好きなジャンルの音楽しか聴かないというのは、すごくもったいないことじゃないだろうか? 先にも触れたが音楽、本書では主にニュー・ウェイヴは決してひとつの狭いジャンルに収束されることなく広がっているのだから。わかりやすくその音楽性を伝えるために便宜上ジャンルで表現してはいるが、それは単に最も近い音楽性を言葉にしているに過ぎない。その音を聴いた本人が感じたままでいいのだと思う。この本を手にしてくれたみなさんが、AからZまで飛ばさずに最後まで読んでくれて、ミュージック・ライフが大きく広がっていく手助けになったとしたら本当にうれしい。そして実際に80's ROMANCEに来て、自分の耳でその素晴らしい音楽たちを感じてもらえたらもっと最高! (Amabile)

80's ROMANCE Music Disc Guide「はじめに」より


80's ROMANCE Music Disc Guide エイティーズ・ロマンス ミュージック・ディスク・ガイド 80's ROMANCE Music Disc Guide エイティーズ・ロマンス ミュージック・ディスク・ガイド
(2009/08/04)
Amabile(アマービレ)

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多感な青春時代、パンクとニューウェイブの洗礼を受け、浴びるようにレコードばかりを聴いていた毎日。音楽を聴くことが生活の中心になっていた。少ないこづかいをどのレコードにつぎ込むか毎月が真剣勝だった。当時は洋楽情報を手に入れる機会も限られていて、雑誌とFMだけが頼り、アルバイトを始めて都会の中古レコード屋に通うようになると、自分のセンスを信じてジャケ買いができるようになった。カッコいいロックに出会ったときの衝撃!その歓びの大きさといったら!

そしてアーティストたちはぼくたちにさまざまな影響を与えてくれた。ぼくたちが生きていく上で大事なことは、教科書じゃなくてロックが教えてくれたんだ。好きで好きでたまらない音楽が、ぼくたちと出会い、毎日を豊かにしてくれる。そんなレコードやCDをコレクションできることは本当に幸せなことだと思う。こんなに素晴らしいことをダウンロードで済ませてしまうなんて?

このガイドブックが当時からあったらどんなことになっていただろう。そんなことを想像しながら、これまで80'sを聴いてきた人にも、これから聴いてみようという人にも、絶対にお勧めできる音楽史上最大の革命期1980年代のミュージック・ディスク・ガイド、その決定版をここにお届けします!

【Colour Field Publications SAKUMA】


80's ROMANCE Music Disc Guide (オリジナル版) 執筆者によるレビュー

99年に名古屋でスタートし、年に一度東京でも開催しているクラブイベント"80's ROMANCE"主宰Amabile氏による80'sニューウェイヴを中心としたディスクガイド。僕も幾つかのバンドを執筆させて頂いた。

本書の最大の特徴は、ニューウェイヴを音楽的に解説したガイドではなく、クラブイベントならではの視点で音楽ファンの目線から書かれているということ。そこにはニューウェイヴをダンスミュージックとして捉え、フィジカルに楽しもうとすることへのAmabile氏のこだわりがある。ダンスフロアで大音量で聴いた時に気持ちが高揚する曲はどんな曲? 聴いた瞬間に思わず体が動き出してしまう、そんなパワーに満ちたアグレッシヴな曲は?そうした疑問符への答えを、長年の経験やセンス、知識からわかりやすく提示する。

何をどう感じるかは、個人の主観である。個々のバンドへの思い入れも、人それぞれ千差万別だろう。クラブイベントを切り口にしていると言っても、そのイベントに足を運んだことのない人からすれば必ずしもプラスになる売り文句とは言えない。だからそれらのことを踏まえ、主観には頼りすぎず、イベント未体験な人にも無理なく目を通してもらえるような配慮として本書は各バンド/アーティストのバイオグラフィーの記述を充実させている。楽曲個々への十人十色の感想に終始することは避け、こうした「事実」や「経緯」をきちんと載せることで、ディスクガイドとしての役割・説得力をもたせる努力をした。

本書は、ネームバリューのあるアーティストをバイオ等を交えて解説した「Important Artists」編と、端的にその楽曲の良さを紹介した「Singles」編の二部から成る。ジャンル分けはせず、アルファベット順に並列化してあるので見づらく思う人もいるかも知れない。でも単純に「80年代」の枠組みだけで捉えた面白さがあるし、そこにはジャンルに固執せず同時代のサウンドとしてクロスオーヴァー的に80'sを楽しんで欲しいと願うAmabile氏の思いも覗く。

Important Artists編では、シングル及びアルバムの中からベストと思われる作品をあくまで80's ROMANCE的な視点から選んで紹介している。またベスト盤についても、複数のリリースがある場合どれが質が高いのかを比較検証。これはイベントにおいてまず聴かれるべきはシングルであるというAmabile氏のスタンスに基づく。アルバムももちろん重要だが、アルバム未収シングルをフォローしたベスト盤も同じように重要であるべきという考えがある。

Singles編では、マイケル・ジャクソンやボン・ジョヴィといったメジャー級のアーティストも紹介しているが、80's ROMANCEとしてはそこが核ではなく、あくまで広義に80'sを俯瞰した場合ということになる。ベル・スターズというイギリスの女性ポップバンドの名曲からイベント名を拝借しただけあり、やはりベースにあるのはUKサウンド。ジャンルも多用化し、様々なスタイルの音楽が生まれたあの時代をニューウェイヴに特化した視点から眺めたのが80's ROMANCEであり、本ディスクガイドなのだ。そのため一般的なマス・イメージとは異なる部分もあるだろう。例えば、バナナラマなら大ヒットした"Venus"ではなくデビューシングルの"Aie A Mwana"を、シンプル・マインズなら"Don't You"ではなく初期のダンサブルなシングル"I Travel"を推す、といった具合に。この違いを言葉で説明するよりまずは曲を聴いてもらうのが一番なのかも知れない。

Amabile氏以外には同イベントスタッフや常連の方も何名か執筆にあたっている。皆、プロのライターではないが、イベントの雰囲気を理解した人ばかりなので読み物としての統一感を欠くことはないはずだ。また本書では字数制限がなかったことも特徴的である。通常のディスクガイドなら各バンドごとコメント可能な字数があるかと思われるが、本書は基本的には執筆者の判断に委ねられた。無論、時間的な制約は当然あったが、各バンドへの愛情や思い入れを軸に執筆者一人一人が主観と客観のバランスに気を配った文章でたっぷりとレビューを展開した。

取り上げ方や楽曲のセレクトなどには賛否両論があるかも知れない。しかし、ニューウェイヴが勢いのあった80年代に焦点をあて、可能な限り情報を整理し、90年代以降現在に至るまでの情報も加えながらまとめたことでより有用的なガイドに近づけられたのではないかと考えている。本書に興味を持っていただけた方でまだイベントを未体験な方はぜひ一度「80's ROMANCE」へ足を運んでもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。

Conta

60年代後半に生まれ80年代前半〜中盤から洋楽ロックに目覚め、自分はパンクは通らなかったが、80'sの所謂「New Wave・Post Punk」と呼ばれた英国を中心とした音楽を当時聴き漁った。とにかく自分にとっての情報は一部のFM番組と洋楽専門誌の記事、そこで紹介されるUKチャートやNMEなどのインディー・チャート、そして買ったレコードのライナー・ノーツだった。

英国を中心に続々と湧き出てくる一つのジャンルに括るのが難しい様々で多様な新しい試みを持ったエレ・ポップやアコースティックに回帰した新感覚の音楽に没頭した。もちろんチャートを賑わしたニュー・ウェイヴ系のEurythmicsやFGTH、U2にも熱中したし、David Bowieは当時のヒット・ナンバーから遡って"Hunky Dory"や"Ziggy Stardust"が愛聴盤となった。

当時の輸入レコード屋さんは活気とポリシーがあり、"New Wave""Post Punk"というコーナーを漁れば、インディー・シーンから台頭してきたAztec CameraやPale Fountains、The Smithsのシングルが発売される度に心が踊り、少ない小遣いで1盤入魂で買った。レコード・ショップのスタッフと親しくして頂き、教えてもらいながら新しい音楽との出会いのひとつひとつがアナログ盤のみだったあの時代、そのジャケットの価値も含めすごく重みがあり愛着があった。

そんな80年代のNew Waveに焦点を絞って、99年から10年続けてきた名古屋を中心に、東京でも毎年開催されるDJ イヴェント"80's ROMANCE"と出会った時、鮮烈にそんな80年代に熱く追いかけていた音楽達とフロアの上で生で出会った。そこには当時大好きだったアーティストの音楽に溢れていて一気に虜になった。回顧ではなく今も「生きている」そのNew Waveでロマンス溢れる音楽達。そして今回、そのイヴェントの拘りからこの"80's ROMANCE Music Disk Guide"が発刊された。

自分も若干量ながらレビューの執筆に参加させていただいたが、各執筆者の担当したアーティストへの愛情と思い入れに溢れていて感服してしまう。決してプロのライターが執筆した本ではないし、可読性が最適、というわけではないが、それぞれのバイオにには心から愛するアーティストへの拘りと人脈などマニアックな情報も記されていて、既知のアーティストに関しても改めて発見が多い。主観と客観のバランスがとても良いと思う。

ジャンルレスにA-Zでアルファベット順に配されたレビューは頁をめくって読み物として楽しむにも、気になったアーティストを調べるために辞書として活用しても、また好きなアーティストから見るにも、また偶然の新たな出会いを求めて読むにも最適では、と思う。あくまでも"80's ROMANCE"の視点から書かれていて、例えば、シングルやシングルが収録された編集盤やベスト盤にもスポットを当てる等、クラブ・イヴェントならではの構成も特徴的で、一般のディスク・ガイドとは毛色も異なるが、1000を超えるアーティストを網羅したこのボリュウムと内容は決して損はさせない充実の内容だと思う。

当時をリアル・タイムで過ごした方にもこのボリュウムなら新しい発見と出会いが必ずあると思うし、当時を知らない方が読んでも、そのアーティストに関しての経緯・背景も含め知識を得られ、興味を持って聴くことで新たな音楽との出会いがあると思う。そしてそれをフロアで聴けば、そこには共有・共感できる素晴らしい人との出会いもあり、気持ちもきっと充実するに違いない、と心から思う。

monstera

名古屋を中心に東京でも開催されている80'sニュー・ウェイヴ・イベント"80's ROMANCE"のオーガナイザー、Amabile氏監修によるミュージック・ディスク・ガイド。アルファベット順に各アーティストのバイオグラフィ、代表シングルとアルバム・レビューが並べられているのだが、そのラインナップ、圧倒的な情報量にただただひれ伏すしか無い。エレポップは勿論だがパンクからネオアコまで幅広く網羅。あくまでもニュー・ウェイヴ・イベントの視点から代表作を選んでおり、他のディスク・ガイド本とかはひと味違ったものとなっている。

主に執筆しているのはAmabile氏だが、他の執筆陣は同イベントでのDJ陣や他のロック・イベントのオーガナイザーやDJ、常連さん。このイベントで音楽話をしたり踊ったりと常にフロアを盛り上げている、音楽愛に溢れた人々だ。フロアで生まれた感動や、それぞれが得てきた音楽知識の集大成がここにある。ハービー山口氏によるアーティスト写真の数々も素晴らしい!

イベントに足を運んだことの無い人も、80'sの音楽が好きならば、特にこういった音楽がかかるイベントに足を運んでいる人ならば是非店頭で試しにこの本を手に取って欲しい。まず本の分厚さにびっくりするだろう。決して内輪だけで楽しむような内容では無いし、読み物としてひとつひとつの文章を興味深く読めると思う。Amabile氏や、各イベントでDJをしている人達の文章は、ロック・イベントでDJをしている人にとって参考になる部分も多い筈。本を読んでみて興味を持ったならば、イベントにも足を運べば更に楽しめるし、本の内容と照らし合わせてなるほどと納得できる。

かくいう私も拙い文章を書かせていただいたのだが、Amabile氏や、このイベントを通じて知り合った人々との出会いがきっかけで自分でもイベントを主催するようになり、音楽漬けの日々を送っている。これまでDOLL増刊のパンク天国や、小野島大氏の本等をバイブルとしてきた私に、バイブルがもう一冊増えた。もちろんこれはひいき目一切無しである。

ハッチ


■ カスタマーのレビュー

素晴らしい80's辞典だと思います。
これだけのボリュームで濃い内容でオドロキの1冊です。
しかもプロのライターさんではなく、それぞれのバンドが好きで好きでたまらない方々による執筆。
バンドに対しての愛情をたんまり感じます。わたしも知らないトリビアが沢山ありました。2100円はかなり安いと思いました。21000円くらいの価値があると思います。
少しでも興味があるかたにはたまらない教科書になると思います。

Jemmy

よく出来ている本だと思います。まず、アルファベット順に並べられている事から、好きなバンドの集中するアルファベットのページ(私の場合は特にS)を覗き込みます。知っているバンドで、全て分かっていたつもりでも、未発表曲の事が書かれていたりして、とても参考になりました。

私にとってこの本は、自分が初めて海外に目を向けるきっかけを与えてくれた80's Musicへの足跡を辿る旅のような存在です。忙しい日常の中でも、聴き続け、感じ続けてきた音楽への再会の様な一冊です。夢中になったニューロマンティクス、パンク、ネオアコースティックから少しダークな香りのするサイケ、そして忘れていけないエレポップまで、鮮やかに彩られた時代が心の中に蘇ってきます。

読書はあくまで個人のものであり、主観によって判定されるものである事から、人それぞれの感じ方をするのは致し方無いと思いますが、私はこの本は評価されるべき良書だと考えています。何故なら、この本には、筆者達それぞれのアーティストへの年月を経てより深まる敬愛と情熱が感じられるからです。

Zahrah Hazuki


■ 紹介していただいたサイト

80's DiscoSong MANIA

80's Rock Bar Visage

Banana Record

CORNERSHOP

If there is something

Indigo Blue Sky

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PIPPI*DONDON

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